雨の日の自転車通勤・通学や、子供の送り迎えにお買い物、キャンプやレジャーなど、雨の日でも両手を使わなければならないシーンでは、傘よりもレインウェアが便利。
ただ、一言でレインウェアといっても、実際にはさまざまな種類が存在し、価格も千差万別です。そのなかでも「性能」については第1回・第2回で、「素材」については第3回で説明してきました。そんなわけでこの第4回では、お店に行くといろいろと選べる「形・タイプ」について、それぞれがどんな目的・用途のために作られているのか、得意・不得意が何なのかをご紹介します。
用途やスタイルによって使い分けたい3種類のレインウェア
レインウェアをスタイルや形状で分けると、大きく3つのタイプに分類することができます。ひとつは膝上丈まである「レインコート」タイプ、次に頭からすっぽりと被る「レインポンチョ」タイプ、そしてジャケット&ズボンの上下に分かれている「レインジャケット(セットアップレインスーツ)」タイプです。
レインコート・レインポンチョ・レインジャケットの基本的な特徴比較
種類 | レインコート (コートタイプ) |
レインポンチョ | レインジャケット (セットアップレインスーツ) |
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特徴 | 丈が膝上まであり、羽織るタイプのレインウェア。 | 1枚の生地を頭からバックパックごと被るように着ることができるモデル。 | フロントファスナーが全開するジャケットタイプで、基本的にパンツとセットで着る。 |
メリット |
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デメリット |
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適したシーンやアクティビティ |
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レインコート(コートタイプ)
防水性のある素材でつくられた膝上丈まである外套のことを一般的にレインコートといい、今から数百年前にイギリスで発明され、当時大流行したといいます。
見た目はそのまんまコートと同じでスタイリッシュなデザインであることが多く、1枚羽織るだけで着られるためビジネスや通学シーンで使いやすいのが魅力です。ある程度の雨ならば下半身もそれほど濡れずに済むため、多少の雨ならばこれ1枚で濡れを気にせず使うことができます。
ただし完全にカバーされているわけではないので、強い雨や、雨の日の自転車では下半身が濡れてきてしまいます。その弱点をカバーするため、長めのロングコートスタイルで、前裾部分にアンダーガード(三角マチ)を備えているモデルもあり、その場合は雨の自転車通勤でも最適です。
レインポンチョ
「ポンチョ」とはスペイン語で、元は四角形の布の中央に穴を開けて首を通して着る、防寒・防風アウターのことをいい、中南米の原住民の民族衣装が源流と言われています。リュックを背負ったまま上からすっぽりと被って使えることから、アウトドアの世界で使われるようになり、現在では日常でも使われるようになりました。
荷物ごと防水でき、脱ぎ着が楽、軽量・コンパクトに携帯できることから、フェスなどの軽いアウトドアシーンにはぴったりでした。また洗練されたデザインが豊富に揃っていることから、女性の日常使いにも人気です。
ただしショート丈のレインポンチョは下半身が防水できないことから、強い雨や強風・自転車運転では役に立たず、このため日常で自転車通勤などにも使用するならばロング丈のレインポンチョがおすすめです。とはいえそもそもの作りとして自転車を想定しているものではないため、どうしても風でばたつきやすい、足元が見えづらいなどの危険は拭えません。あくまでも弱い雨や近場の運転に限るべきです。
レインジャケット(セットアップレインスーツ)
屋外で寒いときや悪天候時に着用するレインウェア全般のなかでも、上下を合わせて着るタイプを特にレインセットアップ(レインスーツ)といい、さらにその上着部分はレインジャケットと呼ばれています。
上下セットタイプの特徴は何といってもその防水性の高さです。ジャケット・パンツそれぞれがしっかりと上半身・下半身をカバーしてくれるためこれにレインブーツ・レイングローブを合わせれば全身をしっかりと防水することができます。単純に雨に濡れたくないということであれば、何をおいてもこのレインスーツタイプを選ぶべきでしょう。
動きやすいこともメリットのひとつです。このため登山やランニングなどのアウトドア・スポーツ時や、作業現場などの動きの多いアクティブなシーンでは上下レインセットアップが最も適しているといえます。
ただし、頻繁に脱ぎ着が発生するケースや大げさな見た目を避けたい場合などは、使いにくさを感じないとも限りません。機能・性能共に万能なレインジャケットですが、万が一の雨に備える場合や、ちょっとした雨を防ぎたい場面に限るのであれば、別の選択肢を検討するのもアリです。
まとめ:レインウェアのシーン別おすすめタイプは?
これまでの説明をまとめると、以下のような基準で選んでみてはいかがでしょうか。なお今回話した基本的なタイプ別の特徴以外に、細かな機能によってもレインウェアの選び方は決まってきます。そうした具体的な機能については次回以降、じっくりと紹介していきますのでお楽しみに。
- 通勤・通学など、デザインと防水性を両立させたいならレインコートやレインポンチョ
- 通勤・通学・日常・野外フェス・アウトドアなど様々なシーンでしっかり防水したいならレインジャケット(セットアップレインスーツ)
- 野外フェスなどデザイン重視でなおかつ脱ぎ着の多いシーンで使うならレインポンチョ
- 短い距離や弱い雨での自転車であればレインコートやレインポンチョ
- 距離や雨の強弱に関わらず安全快適に自転車を運転したいならレインジャケット(セットアップレインスーツ)